ローカル・デモクラシー共同研究 公開研究会

12月4日神奈川県庁の大会議場で県政についての公開研究会が行われました。本庁舎の大会議場はとても趣のある会場で普段の研修よりも身の引き締まる感じでした。
冒頭松沢知事が政策について説明を行いその後各政策に関してご専門の先生から報告がなされました。

公開研究会では
「インベスト神奈川」について東京大学大学院の松原教授。
受動喫煙防止対策」は平成国際大学の石上教授。
「模擬投票」は慶應義塾大学の小林教授がそれぞれ報告されました。

インベスト神奈川をなぜ進めたのかという説明では、国の工場の地方分散政策から産業集積型への立地政策の流れが背景にあり、2004年神奈川県産業集積促進方策(インベスト神奈川)を立ち上げたそうです。
インベスト神奈川とは税金を投資することで県外から企業を誘致したり、また県内企業の県内での再投資を促進することで神奈川県への産業集積を促進する政策です。
松原教授の報告では神奈川県は産学工の連携のポジションを作ってきており人材の地産地消ができるなどポテンシャルの高い地域である。研究所が多く圏央道をつなぐ南北ラインやみなとみらいなどに集積している。これを受けて松沢知事は「相模川流域の調整地域を保留にし新たな工場、企業誘致を進めたい」と積極的な発言をされてました。

その他、論点として既存立地企業の再投資。大企業の申請の大半は研究所への立地。中小企業への支援、R&D(リサーチ&ディベロップメントの略、つまり研究開発活動)ネットワークについて話をされました。

綾瀬の企業誘致も、研究所を主体とした企業をというのはインベスト神奈川と連携した誘致を望んでいるからです。

受動喫煙防止対策については財務省がたばこ利権を掌握していることを挙げ、2005年にWHOの受動喫煙防止条約を締結しながら国が何もしないから神奈川県が先駆的に取り組むと松沢知事の説明から始まり、各国では国レベルで導入しているデーターが表示されました。
何より驚いたのは受動喫煙防止を法律化した所は1年で約17%の心臓疾患が減少したそうです。
それと一番懸念されていた経済への影響については、アイルランドではパブが減少したことやニュージーランドでは全く影響がないこと。台湾では7カ月くらいで回復した。なぜならたばこがなくなると客層が変わりファミリーが来るようになったおかげで回転率が上がったというものでした。


神奈川県では4月より条例が施行されましたが、その影響がどのように変化していくか評価するにはまだ早そうです。

模擬投票については、神奈川県はシチズンシップ教育(政治参加教育・司法参加教育・消費者教育・道徳教育の4つの柱)に力をいれており本年全県立高校で投票が行われました。日本の政治教育の問題点を①政治教育への拒否反応(戦前の皇民化教育、戦前の冷戦の記憶からタブー意識)②参加体験型プログラムの欠如(知識習得がたの教育に偏重)③政治関心、有効性感覚の欠如。と指摘しされそれを解消するべきと話されました。

つまり模擬投票を体験することにより政治への関心が高まることが期待されています。
報告では冒頭日本の若者の政治への無関心をデーターで示されましたが、先生が「最近の学生は社会に対して関心がない、海外留学にも興味がない、関心があるのは友達くらいまで、でも最近はその友達へも関心がない」とつぶやかれたのが一番印象に残っています。

若者が政治に無関心だと投票率に影響し、国においても政策の偏りが生まれます。

神奈川県が行政として手をつけたように、このまま何もしないわけにはいかないですよね。