昨日3月議会が閉会しました

この度の予算審議は市長の新しい事業提案が多く、盛りだくさんといった印象でした。
今年は税制がかわり地方への税源移譲が行われ、法人税の税収も増えたこともあり、市税収入が5億ほど増えました。ですが、地方交付税(地方の格差是正のための交付金)がもらえなくなったので、約4億余の減収となり安定的増収というわけではありません。
そんな中、額の大きい予算科目は総合福祉会館複合施設を建てるための基金条例が提案されました。また、その運営に充てるために一億円の基金積み立てを行うというのです。
現市庁舎を建てた時も積み立てながら単年度予算に負担増とならないようにするため基金条例を取り入れていたそうです。
私はこの時世に大きな公共施設がどうしても必要であるというわけではありませんが、例えば障碍を持つ方がゆったり利用できるバリアフリーの施設等ならあってもイイと思います。横浜のラ・ポールのような施設が県央にあったらいいですね。この条例に関しては、これから協議会を設置し、話し合いの上具現化していくというので、賛成しました。
他にも様々事業がありますが、市長が市民の声を反映した予算だと感じられました。
個々の事業は本当に実施する事でそれだけの効果があるのか、本当に公共政策として担わなければならないのか疑問が残る部分もありますが、市長が市民の信託を受けて長を務めている限り、その案はある程度尊重すべきとおもっています。今回もそれらの事業案はこれから成果を上げていくものと承知し、どうしても反対というわけではありません。

しかし、東名綾瀬インターに関しては昨年に引き続き調査費として380万余が計上されました。インター設置によって市のフレームもあやふやになるであろうし、長期計画である綾瀬のまちづくりも、壊れていく可能性がある(都市計画にもインターについては記載されていない)ため充分議論の末実施するか取りやめるかの結論を出してほしいと主張し、18年度予算を否決しました。このままいたずらに事業案のまま長期化すれば、地域企業の開発停滞や、居住者の移転も出てくると思われます。

市長は安易に経済活性につながる、法人税の増収、市内雇用の増加を期待するといわれるが、その根拠と、市の負担割合や数値をきちんと示してほしい。これからの少子高齢化人口減・市場の多様化等社会情勢をしっかり捉え、提案される企画内容が大多数の支持を得るものであれば、計画に賛成する事もやぶさかではない。と考えています。

今回の議会一般質問で行政を自動車メーカーに例えて意見を言わせていただきましたが、製造した車をどのように売ろうか、販売方法ばかり議論をしても車自体の性能は上がらない。本来メーカーとして消費者のニーズをしっかり捉え、どのような車をこれから作っていくのか、企業理念などしっかり提示し、その上でどのように販売していくのかわかりやすくアピールしないと、車の持つ価値が上がらないでしょう。

市長には、まちづくりのビジョンやインターを設置したいのなら県としっかり協議し費用負担を市民に提示し、本当に建設できるのか明らかにすべきです。

以下この度の反対討論を記載します。

第17号議案 平成18年度綾瀬市一般会計予算案に関して反対の討論を致します。

私はまちづくりの根幹を覆す地域活性化インターチェンジ事業に関して、費用対効果分析を含めた事業評価の不十分さを指摘し設置促進事業の予算案に反対するものです。
18年度予算においては、地域活性化インターチェンジ促進事業費として380万6千円が組んであります。
事業目的には、「(仮称)綾瀬インターチェンジの必要性と設置に伴う効果影響等を広く市民に公表し、今後の取り組み等について住民合意を得ると共に、方向性を示していく。」とありますが方向性は設置を肯定するもので、インター設置の事業評価が明確でない現段階では、議員として賛成できかねます。

新規公共事業採択は国も厳しく規定しています。
国土交通省道路局の新規事業採択時評価の概要に、事業採択の前提条件の確認として
・投資効率は十分か(便益が費用を上回っているか)
・円滑な事業執行の環境が整っているか
を上げ、その後、費用対便益の確認事業の影響、そして事業実施環境の把握と事業採択前の事業実施の必要性を厳しくチェックすべきとしています。国も厳しいチェックを進めているのに、私はこれまで出された資料で綾瀬インターが経済活性化に効果的か、設置に値するか判断するのは不可能だと思います。

また、神奈川県道路協議会(神奈川県、横浜市川崎市国土交通省東日本高速道路(株)、中日本高速道路(株)、首都高速道路(株))では、依然として解消されない交通渋滞や道路の安全性、快適性の向上など、神奈川の道路が抱える課題の解決に向けて、施策や事業の実施により得られる成果を数値目標として定めるとともに、昨年度の達成度を評価した「平成16年度神奈川のみちづくり達成度報告書/平成17年度神奈川のみちづくり業績計画書」を策定しています。
その中で、自動車専用道路へのアクセスの向上を課題として、インターへの20分到達圏域の割合を増やす指標設定をしています。具体的目的達成への取り組みではさがみ縦貫道に新設される6つのインターを上げ改善を図るとされています。これを見ても現時点では神奈川県が事業主体として新規に綾瀬インターチェンジ設置は協議会の案としても検討されていないことがわかります。
そういった状況の中で本当に県が事業主体で活性化インターの設置が可能なのか考える必要があります。

市長は一般質問の答弁の中で、多様化する市民サービスの向上の為に、インター設置による企業誘致を進め税収増を目指すといわれました。しかし、施政方針の中で言われた様に、政府が小さな政府を目指し、行政サービスのアウトソーシングが進むと、市民サービスの内容が今後変わってくる可能性があります。一体どのようなサービスを行政が担うべきか精査するために行政経営を目指すのであるのに、市長の言われる「安定的サービスの提供」といった場合の「サービスの概念」を市民に説明できません。

また市長が市政方針の中で述べられたことは、市政は誰のためになすべきかの自問の答えに、行政サービスを受ける市民の側にイニシアティブがあると前置きされた上、市の取り組みや将来の方向性など積極的に情報提供を進めより多くの市民の皆様と十分に議論を積み重ねながらまちづくりに傾注すると発言されました。
ならば市民が納得するように設置による効果や市の負担をきちんと数値で示し、市民の間で議論が尽くされた上で、設置するかどうかを、市民を交えた中で決めていくべきだと思います。例えば、合意形成を全体的に行う議会的な手法ではなく、より経営的に何らかの組織やグループが中心となって、設置や不設置を含めたまちづくり案作成に取り組み、そのパフォーマンスを市民が民主的に評価し政策に反映させるなど、広く市民を参加させる手法を考えるべきです。
平成16年度の統計要覧で、常住地による就業者数を見た場合、市内に住み、市外に通勤する人数が市内で働く人の約2倍います。その中には綾瀬市は駅がないけれど、周囲を他市の駅に囲まれ利便性も良く、ほどよく自然を残す環境を居住地として評価しこれ以上の開発を望まない声もあります。是非それらの声にも耳を傾け、あらゆる面より事業評価を示し、その上で事業を決定される事をお願いし、反対討論と致します。